五輪エンブレム問題終結のきっかけとなった写真流用。内部資料なら著作物の無断利用は可能か?

9月 1st, 2015

五輪エンブレム問題終結のきっかけとなった写真流用。内部資料なら著作物の無断利用は可能か?


五輪エンブレムの件は、佐野氏の他の案件なども絡み「国民の理解が得られなくなった」とのことで、作り直しとなってしまいました。この件は、ネット上での袋だたき的な騒動や組織委員会の対応のまずさなど、気になることが満載ですが、ちょっと別の切り口で書いてみましょう。

今回の幕引きの決め手となったのは、やはり空港の展開例写真の件でしょう。僕は個人的にはエンブレムのデザインに関しては著作権侵害は無いと思っていますが、この空港の写真の利用に関しては著作権侵害で間違いないでしょう(許諾を取っていないということならば)。僕は最初は、この写真については、佐野氏が組織委員会にプレゼンをする時の内部会議で使われたものだろうと思っていました。そういった場合では今回のケースは別として、法律でシロと明記されているものもあるんです。

著作権法の平成24年改正で追加されたものの中に第30条の3「検討の過程における利用」というものがあります。企業が何かキャラクターイラストなど著作物を利用する前提でプレゼン資料などにその著作物を利用することがよくありますが(というか企画書にそれが載っていないと会議になりませんよね)、それが合法なのかどうか微妙(もしくは不安)ということだったのを法文で明確に大丈夫だとしたものです。最終的に決まればその著作物を利用するという前提ですが、企画が通らなかったとか複数の案のうち1つ以外は採用されなかったという場合でも大丈夫です。ただ、その著作物自体を最終的に使う前提ではなく、あくまでもイメージの参考などとしてプレゼンに利用している場合はこの条文は適用されません。

いわゆる「写り込み」等に係る規定の整備について(解説資料)
(文化庁)

ということで、今回の五輪エンブレムの空港展開例に関しては、写真自体を最終的に正式許諾を取って利用するのが目的ではなく、単にプレゼンの素材として使っただけのように思われますので厳しいですね。さらに、内部資料ではなくエンブレム公式発表でも使われたものだとのことですので、この条文の対象ですらないです。今やストックフォトライブラリーは膨大に有るんですから、なぜそれを使わなかったんでしょうね。